No.26− No.30



 

No.26 十萬個為什麼?/王靖?  (1993/香港)

 すんません、フェイ・ウォンです。漢字変換で最後の文字が入りません。ワードの漢字辞書を使って入力しているのですが、「?」になってしまうんですわ。申し訳ないのですが、このままで失礼いたしやす。
 で、「王菲」になる前の、フェイ・ウオン。今じゃ日本でもすっかりメジャーな存在になりましたが、まさかこんなに知名度が上がるとは思いませんでしたね。一般化のきっかけは、ファイナル・ファンタジーのテーマ曲を歌ったことでしょうけど、その時点ですでに、中華圏を代表する歌手として大きな評価を受けていました。
 その最初の出発点として、初めて国内版が出たのがこれ。僕の場合は、たまたま香港へ行った時に、ちょうどこのアルバムが発売になったところで、どこのCD屋でも目について、その不思議な雰囲気のジャケットについ引かれて買ってしまったのでした。買って聞いてみてびっくり。なんとまぁ楽しいこと。あれやこれやと、いろんなパターンの曲が入り混じってなんとも賑やか。いかにも香港ポップな曲のみならず、京劇風の中華な曲もあるし、中島みゆきやポリスのカバーなんかもある。いやはや香港ポップ幕の内状態。しかも、これだけバラバラな楽曲群を、すべて無駄なく歌い上げていて違和感を感じさせないのはさすがです。これ以後、英国志向のオルタナ路線に行ってしまうのですが、この娯楽性第一の「香港ポップ」アルバム、なかなか捨てがたい魅力を持っています。


No.27 BGM/YMO  (1981/日本)

   出だしのグニャグニャしたシンセの不協和音で、それまでの、ある種爽快なシンセサウンドを一瞬にして吹き飛ばした3作目。わたしゃ、これで人生変えられました。つっても、あれこれ音楽を聴くようになるのはまだ先のことなのですが、それまでの数年の間に知らず知らずのうちに体内に蓄積されて、その後の僕のリスナー人生の土壌を作られたように感じています。
 それまでの「ポップ」な曲風から一転、当時の英国のニューウエーヴの動きに呼応するかのような、ストレンジでアンビエントな音響空間。暗いんだけど、妙な味わいのある楽曲群。案外、メロディラインもしっかりしていたりして、頭ん中にこびりつきます。当時の僕のバカな脳みそが、この音でグルグルと攪拌されて、徐々に発酵されることになってしまったのでした。
 で、久しぶりに聴いているのですが、いいですねぇ、やっぱ。思い入れが強いせいかも知れませんが、全然古さを感じさせません。今聴いても、十分アグレッシブで刺激的なサウンドです。YMOの3人が残した、最大最強の結晶。聴けば聴くほど味が出る、スルメイカのようなアルバムです。それではもう1回、みなさんごいっしょに(笑)


No.28  FAUST/FAUST  (1971/ドイツ)

   ファウストのファースト。そういう、つまらん駄洒落をついつい言いたくなってしまうような、勇気溢れるファウストのファースト。
 切った貼ったの変幻自在のサウンドコラージュで綴られたサウンドは、その後の世界中の「異端」実験音楽家に、限りない夢と希望を与えることになるのでした。冒頭のズタズタにされた、ビートルズの「愛こそすべて」と、ローリング・ストーンズの「サティスファクション」。もうこれだけで、ガーン!とやられます。これぞまさに、「異端」の「異端」による「異端」のためのゴスペルだぁー!と、ほとんど意味のわからんことを思ってしまうくらいの感銘を受けてしまいます。
 こんなに自由で、気ままで、しかも確信的な音楽。これでもかというくらい個性的なアーティストを、それこそ特産品のように送り出してきた「ジャーマン・ロック」と呼ばれる一群の動きの中でも、とりわけ異彩を放っています。

 我が日本が誇るキング・オブ・ノイズ「非常階段」が、このファウストの「テープス」という編集盤をまねて、同様のコンセプトのアルバムを出したのも、今では昔の物語。
 なにはともあれ、このファウストのファーストを踏み絵にすると、そのアーティストの音楽の志向性が一目瞭然でわかってしまうPH試験紙のようなアルバムです。


No.29  PEARL/JANIS JOPLIN  (1971/アメリカ)

  まず、出会い頭にガツンと。かっこいいねぇ、かっこいい。1曲目の「MOVE OVER」。言うまでもなくジャニスの代表曲です。タイトな演奏と、シャウトするパワフルなボーカル。きますねぇ、きます、文句なしにかっこいい。そんなチープな物言いが通用するようなアルバムでは無いということは百も承知なのですが、ただ単純にかっこいいのも事実です。彼女にまつわる多くのエピソードと、その悲劇の結末が、どうしてもこのラスト・アルバムについてまわって付加価値となってしまっているので、単なる娯楽作品みたいに言うと怒られたりするのですが(ってことがありました、ほんと)。  しかし、すでに21世紀に突入した現在となっては、もう60〜70年代のロックが「ロック・クラッシックス」として、勉強する対象となってしまっているのも否定できませんし、やむを得ないですよね。
 そんなこんなで、時々FMなんかでも耳にする(ある意味すごいことです)、この1曲目を聞きながら、そんなどうでもいことをダラダラと考えていたりしているのは、あんましこれがカッコよすぎるから。。このテンションの高いアルバム、今でも十分インパクトがあり、耳に心に身体に響いてきます。名作!



No.30 IN CASE YOU DIDON'T FEEL LIKE SHOWING UP/MINISTRY (1990/アメリカ)

   ニューロマのかかった平凡なエレ・ポップから、突如、過激なエレクトロニクス・ジャンクとでも呼べるようなインダストリアルな音響(ボディ・ビートって当時言っていました。懐かしい〜)に転身し、さらにメタリックなギターを大挙導入したへヴィ&ラウドな世界へ一直線・・・
 とまぁ、ほとんどなんのこっちゃと言うような、大胆な音楽的変遷。例えば、ニール・ヤングとかP.I.Lとかプライマル・スクリームとか、「あっと驚くタメゴロウ」的な音楽的変遷を繰り返している方々っていますが、このミニストリーも、たいがいなもんですわ。しかも、エレクトリックなビートにへヴィ・メタリックなギターサウンドという、今ではすっかり普通になってしまったスタイルを、最初にやったのがこのバンド。この功績は大きいでしょう。
 で、このアルバム、ヘヴィ路線がすっかり定着した頃のライブ盤です。同じくビデオもでているのですが、金網の中で多人数でセッション風に演奏をしており、機械の金属ビートに生ドラムが絡み、唸るギターと吼えるボーカル、客はというとダイブの嵐、とってもハードコアで壮絶な内容です。こんなのを聞くと、普段から身体は鍛えときゃなきゃと思います。彼ら無くしては、N.I.Nもマリリン・マンソンも存在してなかったかも知れません。おそらく確実に。


   
 

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