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南海高野線の萩原天神駅から南西。阪和線を越えて、のんびりとした田畑が続く通りをぶらぶらと。やたら池の多いところだなと思いながらしばらく行くと、住宅地が現れ、そのマンションの向かい側に、ひっそりと銭湯。 おっと、これはまぁ。なんともはや、「昔ながら」としか言いようのない、こじんまりとした外観。この一画だけが時間が止まったかのような佇まい。暖簾を向こう側で、福助のタイル絵がこちらへ挨拶をしているのが見える。 暖簾をくぐると、下足場。こじんまり、天井が低く、先ほどの福助がお出迎え。木の下足箱を利用し、そして中へ。木の番台がいい感じ。脱衣所中央には机と、しっかりとした長椅子が２つ。内庭があり風情をかもす。番台上には福助人形とミニの神棚。隅には、木の身長計とアナログ体重計。 そして見どころは、間仕切壁側ロッカーの上に置かれた大きな「温泉旅館」の模型！これすごいですよ、部屋の中の細かい部分まで精巧に作られている。見入ることしばし。飽きません、なかなか。 そして浴室へ。おっとっと、これまた時間軸無視のレトロ空間。入り口からしてアーチ状、体を拭くため？のようなスペースがあり。入ってすぐ横手には、掛かり水だろう横長のなみなみと水がたたえられた水鉢。そして浴室中央に楕円形の深と浅、こちらもお湯がなみなみとたたえらえている。浴室奥、超音波気泡風呂ジェット２連の深めの浴槽。 そして見どころその２、タイル絵がなんと３つ！両側の壁と、奥の壁、縦５枚×横８枚。それぞれ、桃太郎、富士山、天女、という絵柄。特に桃太郎、宝を積んだ車を引くサルとイヌとキジ。しかもサルもイヌも着物を着ている本格派。素晴らしい、またしても見入ることしばし。 この時間の感覚を一瞬にして忘れさせるような、タイムスリップ空間。いったい今がいつなのか、「そんなの関係ねぇ」、としかいいようがないような。いや関係ないです、まさに。この感覚が味わいたくて、今日も僕は銭湯巡り。 |