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奈良県桜井市の長谷寺。西国三十三ヵ所第八番札所で、大観音や牡丹で知られる一大霊山。入り口の仁王門から長い長い階段を上がり、広い境内をぐるっと一周。咲き誇る牡丹の花に見とれながら、汗が吹き出てくる。さてそういうときはお風呂でしょ、やっぱり。というわけで、日帰り入浴可能な温泉旅館「井谷屋」へと向かう。 長谷寺の賑やかな参道沿い、立派な温泉旅館の佇まい。入り口には「千人風呂」の看板。フロントで入浴料金を払い、２階へと。しかし階段を上がるのではなくて、廊下にゆっくりとした傾斜がついており、客室の間を抜け、壁に石が埋め込まれまくった廊下を通り、また客室の間を通りしていると、いつのまにか２階になっていた。 そのけっこうな距離の廊下を渡り、奥に暖簾の掛かった浴室。男性側には「千人風呂」、女性側には「牡丹の湯」と書かれている。浴室はシンプルな造りで、中央にどどーんと大きな浴槽が１つ。奥側の組まれた給湯口からお湯がざざざざざ。無色透明で無味無臭のきれいなお湯。若干、つるっとした浴感。 奥の壁側は一面窓になっていて、外の景色が良く見える。見下ろすと、参道の屋根と屋根の間から、少しだけ通りの人が見える。特別、景観がいいというわけではないが、歩き回った疲れがほぐせて、ほっと一息。これも仏様のたまものかも知れません。 |