No.21− No.25



 

No.21 一無所有/崔健  (1989/中国)

  1989年作ってなってますが(香港発売)、もちろん僕の持っているのは、1993年発売の国内盤です。なんですが、実は以前に中国に行ったときに、何本かの海賊盤のテープを買って持っていて、ほとんどヘヴィ・ローテーション化して聴いていたので、ほとんどの曲は多少なりとも耳にしていました。崔健は中華人民共和国のロッカーで、以前に某音楽雑誌に、崔健自身が選らぶベストアルバムってのを寄せていた事があったのですが、その時のラインナップは、マーヴィン・ゲイからソニック・ユース、ゲットー・ボーイズと、バラエティにとみながらも実に的を得た選出をされていて、崔健の持つ曲の強度のワケをかいま見たような気になりました。この1st.では、荒削りでスケールの大きな崔健の初期の代表作が聴けます。続く2枚目 「解決」 を経て、3枚目で、その音楽的成果は頂点に達するのですが、その評価が決定的になる以前の、手探りで中国のロックを切り開いていく様子がうかがえます。とか適当なことを言ってますが、例えば「長征ロック」、いまだに聴くと熱くなるもんな、まじで。リアルなロックにゃ国境は関係ないんや、ほんま。


No.22 FOX BASE ALPHA/SAINT ETIENNE  (1992/イギリス)

   いやー、好きだったんですよ、セチ・エヌ。最近は、あんまし聴かないけれど。でも、このデビュー・アルバム、久々に聴いて、またもやはまってしまいました。これが出た当時って、ちょうどグランジなんかが全盛のときで、ノイジィなギターが、ががががががーってなやつをやたら聴いていたので、合間にこのアルバムを聴いて、精神のバランスを保っていたような気がします (^^)
 なんというか、一服の清涼剤、っていうか。実は、案外底意地が悪い奴ら、ってのが当時の音楽雑誌に載ってたような記憶もありますが。ただ、英語は全然わかりませんし、しかも僕の持っているのは輸入盤なので、歌詞に関しては全くわかりません。よって、ここから個人的に入ってきたのは、比較的静かめのグルーブ感と、爽やかでコケティッシュな女性ボーカルの、ポップでキュートなガール・ポップだったりします。しっかし気持ちいいよな、ほんと。そういや、6曲目の「Spring」、実は、僕の結婚式のときにケーキ・カットのBGMで使ったんですよ。ちょっと気恥ずかしいけど、想い出深かったりしています。


No.23  THE PSYCHEDELIC SOUNDS OF/13TH FLOOR ELEVATORS  (1966/アメリカ)

   アメリカ合衆国の大衆音楽史上に燦然と輝く、変態サイケデリックの雄、13thフロア・エレベーターズの問答無用の超名盤。何をぐじゃぐじゃぬかしとるんじゃわりゃ、文句あるんやったら言うてみぃ、っちゅーような気迫に満ちた、パンクでジャンクでスカムでイルなグチャドロ変態サイケワールドでバッド・トリップ!
   ドラッグでラリパッパになった頭ん中に鳴り響いているかのような音響に、いったいどんな言葉をもって接すればいいというのでしょう?なんせ、率いるロッキー・エリクソンは真性ジャンキーで、かつてはドラッグ中毒で入退院を繰り返したりしていたそうじゃないですか。グループ名も、なんだかやばいらしいし。うーん、ろくなもんじゃねーな。しかし、そのろくなもんじゃない彼らの音に一度はまってしまうと、もうあきません。脳味噌が音のドラッグでとろとろにとろけていくのがわかります。特にバックで鳴ってる、ビンの口を吹いている、なんともいえない変な音・・・。ばかばかしくも恐ろしい、危険な音響です。


No.24  PET SOUNDS/THE BEACH BOYS  (1966/アメリカ)

   奈良公園で鹿にエサをやっているようなジャケット。あなたも大好き、わたしも大好き、誰もが大好き、ビーチ・ボーイズ、普及の名盤。この頃のブリティッシュ・インベションと呼ばれた、ビートルズを始めとしたイギリス勢の攻勢に、アメリカで唯一(?)、対抗できたのがビーチ・ボーイズだったと言われています。なにはともあれ、ビートルズの「Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band」に匹敵できた、最強の室内ロック。「インドア・ポップ」なんて言葉も、最近生まれましたね。実験的なスタジオ・ワークをぎりぎりの精神状態でポップに昇華させた、文字通りの万華鏡的ポップ・ワールド。これが好きじゃないやつは人間じゃねぇ、的な扱いをされたりしても、ある意味仕方ないかもと思えるような。とりあえず出会えて良かった、と。



No.25 BIRD/B.A.L.L (1988/アメリカ)


   ドン・フレミングとクレイマー。後にアメリカン・オルタナティブの親分として、90年代前半から中盤にかけて名前をとどろかす2人が在籍していたことで有名な、スーパー・グループ(?)のアルバム(たぶん2nd?)。発売はクレイマーのシミー・ディスクからで、そう聞くと、なんだかめちゃくちゃ懐かしく感じるのはこりゃ歳ですかね。
 ドン・フレミングの破天荒なロックン・ロール指向と、クレイマーのアヴァンギャルド・ポップな体質がほどよく調和したローファイ・テイストなアルバムで、マジでとらえると馬鹿を見るっていう見本のような音楽性。考えていないようで考えていて、意味があるようで意味がなくて。これって、やろうと思ってできるものでなくて、いわば資質の問題っていうか。大バカなロックン・ロールなら、この後のドン・フレミングのヴェルベット・モンキーズなんかのほうが聴きやすいかも知れないが、以降のオルタナ(特にグランジとかローファイとか)全盛の為の種まき役を、アルビニやソニック・ユースなんかとともに、せっせと担なっていた功績は果てしなく大きいですね。再評価されるべきでしょう、何度でも。


   
 

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