No.16− No.20



 

No.16 20 JAZZ FUNK GREATS/THROBBING GRISTLE  (1979/イギリス)

 おぉ、懐かしの元祖インダストリアル・ノイズ・ユニット、スロッピング・グリッスルだぁ!電気グルーヴの石野卓球もファンだったらしい、ノイズのパイオニア的存在。あまりにも狙いすぎのアルバム・タイトルとジャケットで、今から思うと少々鼻につくような気がしないわけではないですが、彼らが単なるこけおどしの連中じゃないことは周知の通り。なんでそんなに人を不快にさせようとするのよ、ってな音をあれこれぶちまけておりますが、ジョン・ライドンが「ロックは死んだ!」って言い放った後に、こーゆー音楽が出てくることが、まさしくこれが「パンク」の後継的精神の発動でしょう。不快どころか痛快ですよね。とかなんとか言ったりしてますが、今聴くと、案外聴きやすいんだよなぁー、これが。ポップな曲もあるし。まぁ、ジャケ写のバックが実は自殺の名所らしいっていうのが、もうなんともはやなんですが。



No.17 MEANTIME/HELMET  (1992/アメリカ)

  ヘルメットの音は硬い。とまぁ、一言でいうとこれですか。しかも、この1stは特に硬い。岩石を粉砕するような硬度。それも、1秒の誤差も寸分の違いも許さないような正確無比な硬度。そういや、メタリカとソニック・ユースの出会い、とか言われてましたっけ。テクノみたいだ、と言っていた人もいたなぁ。驚愕の大型新人バンド、とか言われたりもしていました。実際、後身のヘヴィ・ロック・バンドに与えた影響は大きい。リフを中心とした爆裂スラッシュ・ギターと、タイトなリズム隊、細切れに言葉を吐き捨てるボーカル。特に、リフの間から、スコーンと抜けるようなドラムの音が聴こえる瞬間の快感。そして、そこに絡みつくギター・ソロのかっこいいこと!わたしゃ、まじでこれにやられましたわ。おかげで、これ以降のアルバムはどうも食いたりまへんな。


No.18 らご/羅針盤  (1997/日本) 

  山本精一さん、歌もんの名盤。あぁ、こんなのもありなんですね、思わず涙。懐の深さに心の底から感銘を受けます。もう一曲目のイントロのギター・ソロからして、はやくも感動。なんとも高揚感があって、気持ちいいのなんのって!ちょっと、たよんなさそなボーカルも、なかなか味があってグー。シンプルなようでいて、微妙に隠れ技をちりばめた楽曲郡は、本当に素晴らしい。しかし、山本精一さんって、ほんと何者なんだ。想い出波止場にボアダムズ、Rovoに赤武士、とその多岐にわたる活動の数々、ノイズからアヴァンギャルド、ドラムン・ベースまで、音の境界線ってのがまったく見えましぇん。ドラゴン・アッシュのディープなんやらとかいう曲の「壁がなくなるぞ!」とかいうのを聴いて、なに言うてんねん、もともと壁など存在していなかったのだ、って、つい言いたくなってしまうような。そういう山本精一さんの羅針盤に狂いがあろうはずがありません。ほんと良い、です。


No.19 TRANS-EUROPE EXPRESS/KRAFTWERK  (1977/ドイツ)

 クラフトワークって、その昔、江口寿士の「すすめ!パイレーツ」を読んで、その存在を知ったのでした。よって、先にY.M.O.やプラスティクスを聴いたりしていたんです。全く誇れるようなもんじゃないですが、今ではいちおう、敬意を感じていたりしています。例えば、アフリカ・バンパータやスティーブ・アルビニのビック・ブラックなんかの異業種から異種格闘技戦のようなものを挑まれるというのが、影響力の大きさを思います。この邦題「ヨーロッパ特急」というアルバム、ゲーリー・アンダーソンのサンダーバードの人形のような彼らの電子ロマンが堪能できます。ほんわりと漂う哀感がいい味だしてます。気持ちいいっす。


No.20 犬は吠えるがキャラバンは進む/小沢健二  (1993/日本)

   この不思議なアルバム・タイトル、アラビアのことわざだって、オザケン自身がアルバムに書いています。フリッパーズ解散後、しばしの沈黙をやぶって発表された期待の1stアルバム。シングル・ヒットを連発する2枚目 「Life」 以降の、スコーンとふっきれたような突き抜けた楽曲郡に比べると、幾分地味めで、少々屈折した心情も感じてしまえるという、ある意味デビュー作独特の初々しさを持った作品ですね。なんといっても、まずボーカル。やっぱ、最初は戸惑ったんでしょうな。抵抗あったんじゃない?自分で、まさか上手いなんて露ほども思っていないだろうし。この声、グルーヴがだせないもんね、残念ながら。それを自ら克服しようと、唱法を一挙に変えてしまうのが2枚目以降なんですが、ここではとにかく丁寧に一生懸命歌おうとしているのが涙もんです。何より1曲づつが長めで、じっくり聴かそうとするタイプの曲が多い。特に7曲目の、「天使たちのシーン」 なんか極め付きの13分31秒だもんね。それでも、一気に聴かせてしまおう、という気合いに負けちゃったりします。素直なんだか、曲がってるのかよくわからない歌詞も、つい深読みしたくなったりして。ゆえに、妙に印象に残る曲も多く、個人的には、この路線でいって欲しかったなと密かに思っていたりしていたんですけどね。リスナーって勝手。


   
 

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