No.11− No.15



No.11 BADUIZM/ERYKAH BADU (1997/アメリカ)

  R&B音痴の僕が、なぜか、はまりまくったエリカ・バドゥ。僕の勤めている会社の後輩に、この辺りの音楽がめちゃくちゃ好きなやつがいて、たまにおすすめのCDを貸してくれたりするのだが、その中で、もっとも聴き込んだのがこれ。聴き込みついでに、発作的に買ってしまいました。
  何がそんなに気に入ったかというと、なんと言っても、その声。決して、押しつけがましくはないが、一度耳にすると、なかなか離れてくれないような強力な磁場を持った声。ややジャジーでクールな楽曲に、彼女の程良く抑制されたボーカル。彼女が発声する瞬間にぞくぞくするものを感じる事が何度あることか!なんとも、快感。歌のうまい歌手は山ほどいるジャンルだが、他者と決定的な差異をしっかりと見いだせることのできる人って、どれくらいいるんだろう?この人じゃなきゃって個性を感じさせてくれるヴォーカリストって、そんなにたくさんいるわけじゃないでしょう。まだ、発展途上にある人なんでしょうが、少なくとも大器を保証されている事だけは間違いないですね。いやー、その後輩に感謝!です。さてさて、新作はまだ?


No.12 UNSANE/UNSANE (1991/アメリカ)

   通称「首チョン」といわれた衝撃的なジャケット。なんとも悪趣味な、米国アンダーグラウンドの臭いがぷんぷん漂ってくるようなジャケ写だが、ただのノイズまき散らし型の単なるこけおどしバンドかと思うと、さにあらず。掛け値なしにすさんだサウンドで、ニューヨークっちゅーところは命がいくつあってもたりねーや、などと行ったこともないくせに、そのように思わずにはおれないような、悪夢のような世界が展開されています。
   ひずんだノイズ・ギターにくぐもったリズム隊、遠方から叫ぶタイプのひしゃげたボーカル、日常の狂気をえぐり出そうとする、とち狂ったような楽曲・・・アルバム中、最初から最後まで、この調子で押して、押して、押して、あっという間に終わる36分46秒。ここまでやられりゃ、悪夢の世界も快感に替わり、逆に清清しいものを感じるってもんです。これがなかなかどうして、聴き進むにつれ、いつのまにやら快感にかわるから不思議。単に俺が変なだけ?えーもん、別に。


No.13 THE END/NICO (1974/アメリカ)

   「ジ・エンド」。タイトル曲は言うまでもなく、ドアーズの名曲。これをアルバム・タイトルに持ってこられると、聴いているほうもついつい深読みしてしまうってもんですが、かつてニコとジム・モリソンは恋仲だったらしい。何をか言わんや・・・って思ってしまいますよな、こりゃ。しかも、そのヘヴィな名曲を、彼女の呪術的な深く重いヴォーカルがからめとるようにカバーしているっていうのが、何ともたまりません。ジョン・ケイル、ブライアン・イーノ、フィル・マンザネラ・・・という鉄壁のバックを従えて、ニコの巫女的呪縛ヴォーカルがうなりまくっています。基本的に、大きな高揚のない、地面を這うような曲が続くのですが、それでも、そこから耳が離せないのは、ニコのたぐいまれな表現力の磁力のせいでしょう。なんとも、耳を離すことのできない強力な磁場を作り出している、彼女の声。なんで死んじまったんだぁ!


No.14 HARMONY CORRUPTION/NAPALM DEATH (1990/イギリス)

 はやい、うまい、やすい、は、吉野屋の牛丼だが、速い、重い、かっこいい!は、文句なしにはナパーム・デス!80年代の後半を超人的なスピードで、秒単位で駆け抜けた彼らが、自ら築き上げたスタイルをぶち壊すかのように徐々にスピード・ダウンを行い、新たなエクストリーム・ミュージックを追求していく契機となったのが、この 『HARMONY CORRUPTION』 です。
   ディスチャージを何10倍にもスピード・アップしたような怒濤のグラインド・ビートを残しながらも、多少メロディアスになり、一曲が長く、複雑な構成へとシフト。ギターのリフはよりヘヴィに、時にはギター・ソロまでぶちかまし、リズム隊はより重く、そしてギズムに影響を受けたというくぐもった濁声ヴォーカルが唸りまくるという、まことに恐ろしい音塊地獄。明らかにデス・メタルに影響を受けたと思われるような展開で、メタル化を懸念する声も当時は聞かれたりしたけれど、事実、その後はよりデス・メタル的な展開をしていったりしています。しかし一貫して貫かれているのは、より極限を目指して前進しようとする強力な意志。自身のつくりあげたスタイルに安住することなく、より激しく、より極端に、メタルもハード・コアもノイズも貪欲に飲み込んで進化していこうとする姿勢を感じます。断固支持!



     

No.15 ハルメンズの20世紀/ハルメンズ (1981/日本)

   80年代の裏ポップ(?)ニュー・ウェーヴ・バンド、ハルメンズ。このジャケットのインパクトだけで、もうレジへ直行もんでしょう。
   プロデューサーは、言うまでもなくムーンライダーズの鈴木慶一。その鈴木慶一のプロデュースのもと、現ピチカート・ファイヴの野宮真貴、上野耕路とゲルニカを組む直前の戸川純、今どうしているんだろう佐藤奈々子などが参加しています。なんとも、たまらん顔ぶれ!
   そして、シュールな世界観を持った曲を、さらにみがきのかかったアバギャ・ポップな演奏で、他が追随できない唯一無二の世界を作り上げています。「Q−Pダンス」「焼きそば老人」「ふにゃふにゃサイボーグ」「母子受精」など、曲名がその個性を十分に物語っていますよね。ちなみに「母子受精」は後年、戸川純によってカバーされ、「レーダーマン」(なっつかしぃ〜、はやりましたよね。これは1stアルバムの中の曲のカバー)のシングルのB面に収められていました。パンクな精神をしっかり持った名曲っ、すね。


   
 

CD TOP



inserted by FC2 system